座禅の効果とは?8つのメリットと心が整うメカニズムを解説

    あなたは、座禅をしたことがありますか?

    座禅は、古くから伝わる仏教の修行法ですが、実は私たち現代人にとっても大きなメリットがあります

    なぜなら、座禅をすることで、

    • 自律神経が整いストレスから解放される
    • 集中力がつき仕事のパフォーマンスが向上する
    • セロトニンの増加により睡眠の質が改善する

    といったメリットが期待できます。

    これらの効果は、医学的にも証明されていますが、一般的にはあまり知られていません。

    そこでこの記事では、座禅の主な効果8選をわかりやすく解説するとともに、心が整うメカニズム効果的なやり方・注意点もご紹介。

    この記事を最後までお読みいただき、ぜひ座禅に挑戦してみてください。座禅で心と体のバランスを整え、健やかな毎日を送りましょう。

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    座禅で得られる8つの効果

    まずは、座禅によって得られる主な効果・メリットを紹介します。

    座禅の効果
    • ストレスの軽減
    • 集中力の向上
    • 記憶力・仕事の効率アップ
    • 前向きな気持ちになる
    • 睡眠の質向上
    • 姿勢が良くなる
    • 肩こり・腰痛の軽減
    • 便秘や下痢の改善

    ①ストレスの軽減

    まずは、座禅の効果の代表格である「ストレス軽減」について見ていきましょう。

    自律神経のバランスを整える

    座禅と自律神経(交感神経と副交感神経)について

    座禅には自律神経のバランスを整える作用があります。

    自律神経系とは、体の様々な機能を自動的に調整する神経系のことです。

    自律神経系は、「アクセルのように活動性を高める交感神経」と「ブレーキのように活動性を落ち着かせる副交感神経」の二つから構成されています。

    自律神経系は、内臓や血管などの器官の働きを調整しており、この二つの神経のバランスによって、健康が保たれています。

    しかし、ストレスフルな状態が続くと、バランスが乱れ交感神経が過剰に働くことがあります。

    その結果、不安や緊張、イライラなどのネガティブな感情に支配されたり、睡眠障害や免疫力低下などの心身の健康に問題を引き起こします

    これらの症状の改善に座禅は有効です。

    座禅を行うと、交感神経の活動が低下し、副交感神経の活動が高まることが科学的な研究からも明らかになっています。

    副交感神経が優位に働くことでリラックスすることができ、これらの症状が緩和されます

    深くゆっくりとした長呼気の呼吸は、心を落着かせ、精神的な安らぎをもたらす。その上、身体の中の生理的ストレスをも低減させる。

    禅的呼吸法によるストレス低減効果(京都大学)

    セロトニンの分泌を促す

    座禅では、ゆっくりとした呼吸を一定のリズムで繰り返します。

    座禅の呼吸法は、一種のリズム運動であり、この運動によって幸せホルモンとも呼ばれる「セロトニン」の分泌が促されます。

    セロトニンには感情をコントロールする働きがあるので、抱えている不安やストレスを軽減する効果が期待できるでしょう。

    ②集中力の向上

    座禅を組み呼吸に意識を集中させることで、集中力も高めることができます。

    はじめは雑念が次々と沸いてきますが、その度に意識を呼吸に戻すということを繰り返すため、徐々に自分がどこに集中すべきか、意識をコントロールできるようになります。

    座禅を続けることで、雑念や心の乱れを鎮め、集中力を高めることができます

    また、この効果は脳科学的な観点からも説明することができます。

    座禅を行うと、脳の「前頭前野」という部分が活性化することがわかっています。

    人間の脳 前頭前野のはたらき

    前頭前野は高度な認知処理を担う部分であり、記憶や学習などがそこで行われます。そのため、座禅を実践することで集中力がアップし、仕事などの生産性を向上します。

    やらなければいけないことが多い人ほど、一度座禅で頭をすっきりとさせると良いでしょう。

    ③記憶力・仕事の効率アップ

    座禅の効果は集中力だけでなく、記憶力の向上や仕事の効率アップにも期待ができます。

    座禅で脳が冴えることで、記憶を整理して物事を覚えやすくなったり、また脳が活性化されることで物事を思い出しやすくなる効果もあります。

    雑念や不安などに頭を悩ませることも減るため、仕事にも集中しやすくなり、仕事効率も上がることでしょう。

    また新しい視点、アイデアが思いつくなど、クリエイティブな面でも良い効果があります。

    ④前向きな気持ちになる

    座禅をすると、脳内の神経伝達物質である「セロトニン」を活性化させるという研究結果が出ています。

    このセロトニンとは、精神の安定や睡眠の質にも深く関わっていて、うつ病や不眠症になりやすい人はセロトニンが足りていないということがあります。

    ストレスの多い現代社会において、誰しも心が暗くなってしまうことはあるでしょう。

    しかし座禅をすることでセロトニン神経が活発化し、ネガティブな感情が湧いたときも、それを受け入れて対処できるようになります。

    日常に感謝を発見したり、物事を肯定的に見ることができるので、メンタルを強化する効果も期待できるでしょう。

    ⑤睡眠の質向上

    セロトニンとメラトニンについて 良質な睡眠に必要なメラトニンには、セロトニンが必要

    座禅を実践し、「セロトニン」の分泌量を増加させると睡眠にも良い効果が現れます。

    良質な睡眠には、メラトニン(別名「睡眠ホルモン」)が欠かせません

    メラトニンが十分に分泌されると、入眠がスムーズになるとともに睡眠が深くなるため、睡眠の質が向上します。

    そして、このメラトニンを生成するための原料となるのがセロトニン。セロトニンは朝起きたときから分泌が始まり、日が沈む夕方まで分泌され続けます。

    メラトニンは、日中に作られたセロトニンを原料として生成されるため、日中に適度にセロトニンを分泌することで、夜にメラトニンの生成が促進され、より快適な眠りに着くことができるのです。

    つまり、座禅を実践しセロトニンの分泌を促すことで睡眠の質が向上につながるのです。

    ⑥姿勢が良くなる

    座禅は背筋を伸ばし、肩の力を抜いた姿勢で行いますが、お腹には力を入れて姿勢を保つため、インナーマッスルを鍛えることもできます。

    インナーマッスルが鍛えられると、正しい姿勢を維持しやすくなり、悪い姿勢を改善するといった効果もあります。

    ぽっこりお腹を解消する効果もあるため、お腹やせしたい人にとっても座禅は手軽に始められるダイエット方法でしょう。

    ⑦首や肩、腰の痛みを軽減

    肩こりなどの痛みの原因には、姿勢が悪いことや、筋肉の強張り、また日常生活での呼吸の浅さによるものが考えられます。

    座禅で真っ直ぐと身体が安定する正しい姿勢を探し、ゆっくりと深い呼吸をすることでたくさんの酸素が身体に運ばれ、血液中の酸素濃度が上がり、筋肉の血行も良くなり痛みが改善されます。

    デスクワークやスマホの使用などで、気がつくと悪い姿勢をとっている方は多いです。

    座禅はストレス軽減など精神面だけでなく、肉体的にも非常に良い効果が得られる方法なのです。

    ⑧便秘や下痢の改善

    座禅ではゆっくりとした呼吸でインナーマッスルが使われるため、腸が活性化され胃腸の調子が良くなります

    また姿勢と呼吸で腹筋も鍛えられ、排便時にいきみやすくなるなど便秘解消にも効果的です。

    便秘や下痢は、自律神経のバランスが崩れていることで引き起こされていることも少なくありません。

    座禅をすると自律神経を回復されるため、こういった体の不調にも効果があるのです。

    以上が座禅を行うことの8つのメリットです。

    座禅で心が整うメカニズム

    ストレスや不安によって、心が乱れることはありませんか? 心が乱れると、集中力や判断力が低下したり、気分が落ち込んだり、悩みごとやイライラが募ったりします。

    そんなときこそ座禅を行い、心を整えることが大切です。

    しかし、なぜ座禅をすると心が整うのでしょうか?

    そのメカニズムは、脳に存在する3つのネットワーク(神経回路)がカギを握っています

    3つの脳内ネットワーク

    座禅 心が整う メカニズム

    ①DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)

    DMNとは、ぼんやりしているときに活発になる神経回路のことであり、ぼーっとテレビを見ているときや、漠然と過去や将来のことを考えたりしているときに活性化します。

     DMNは脳のエネルギー消費量の半分以上を占めていると言われており、色々なことを考え過ぎてDMNが過剰に働くと、脳が疲れてしまいます。

    その結果、集中力が低下したり、うつ病に陥りやすくなったりする危険性があります。

    ②CEN(セントラル・エグゼクティブ・ネットワーク)

    CENとは、何か特定のことに集中するときに活発になる神経回路のことであり、意思決定を行なったり、問題解決を行うときなどに活性化します。

    CENの活動性が高まると、仕事の生産性や記憶力が向上したり、ストレスを緩和する効果があります。

    なお、「集中力を発揮する際に使うCEN」の方が「ぼーっとしているときのDMN」よりも脳のエネルギーを使いそうなイメージがあるかもしれませんが、CENモードの方が脳のエネルギー消費量が少ないため脳を休めることができます。

    ③SN(セイリエンス・ネットワーク)

    SNとは、DMNとCENを切り替える役割を果たす脳の神経回路のことであり、周囲の状況などに応じて、どちらのネットワークを使うべきかを決定します。

    例えば、ぼーっとしているときにふと我にかえるときがありますが、これがSNが働いている瞬間です。

    なぜ座禅で心が整うのか?

    普段、心にゆとりがあるときは、DMNとCENがバランスよく働いていますが、過去の後悔や将来の不安など様々なことを考えすぎるとDMNが暴走を始めます。

    すると、不安や心配ごとが次々と溢れ出てきて、心が乱れてしまいます。

    そんなときこそ座禅は有効であり、暴走したDMNの働きを抑え、乱れた脳内ネットワークのバランスを整える効果があります。

    座禅中の脳内ネットワーク

    座禅の実践中 DMN CEN SN脳内ネットワークのバランスの動き

    座禅中は、呼吸に集中したり(CEN)雑念が浮かんだり(DMN)雑念に気付いたり(SN)し、このサイクルが絶えず繰り返されています。

    DMNとCENは、一方が強くなるともう一方が弱くなるシーソーの関係であり、座禅によりこの切り替えがスムーズに行われるようになると、DMNとCENのバランスが整います

    その結果、DMNが過剰に働き不安や心配ごとがどんどん出てくるストレスフルな状態から解放され、心が整うのです

    これこそが座禅で心が整うメカニズムです。

    効果的な座禅のやり方

    座禅を行う際、以下のポイントを意識するとより効果が高まります。

    効果的な座禅のやり方
    • 毎日の習慣にする
    • 座禅道具を用意する
    • ゆっくりと深い呼吸を意識する
    • 一度は座禅体験に行く

    ①毎日の習慣にする

    座禅は継続して行うことで効果が高まるため、「習慣化」してしまうことをおすすめします。

    習慣化とは、座禅を日常生活の一部にするということです。毎日決まった時間や場所で行うようにしましょう。

    例えば、「朝起きたらすぐ」「就寝前1時間前」などだとわかりやすいです。

    習慣化することで、座禅を行うことが自然な行動になりますし、忘れることもありません。

    なお習慣化には、以下3つのポイントを意識して取り組みましょう。

    ②座禅道具を用意する

    座禅の効果を高めるために、必要な道具を用意するのもおすすめです。

    座禅に必要な道具は以下です。

    • 坐蒲、座布
    • 線香、線香立て

    坐蒲があると背筋を伸ばして座りやすくなりますし、床に座るよりも足腰の痛みも軽減されます。

    また線香はタイマーとしての役割のほか、香りによるリラックス効果も期待できます。

    詳しい道具の選び方やおすすめの道具はこちらの記事で紹介しています。

    ③一度は座禅体験に行く

    座禅は一人で、どこででもできるものですが、初心者の方は一度道場に行って「座禅体験」を受けることをおすすめします。

    座禅体験では姿勢の悪いところを指摘してもらえたり、わからない点があればアドバイスをもらえます。

    間違った状態の姿勢で座禅を続けると、かえって体に負担がかかることもあります。

    正しい座禅の方法を学ぶことで、日々の座禅の効果もより高まるでしょう。

    座禅体験への参加方法などはこちらの記事を参考にしてください↓

    ④ゆっくりと深い呼吸を意識する

    数息観のポイント 1回の呼吸は10秒が目安

    座禅の効果を高めるには、呼吸が重要なポイントの一つです。

    座禅を行うときには、ゆっくりと深い呼吸を一定のリズムで行いましょう

    このとき、自分の呼吸の回数を心の中で数えると集中力が高まります。これを『数息観すそくかん』と呼びます。

    座禅の呼吸法「数息観」のイメージ図

    そうすることでセロトニンの分泌が促されるとともに血行もよくなり、肩の力が抜け正しい姿勢も取りやすくなります。

    普段の生活では、気づかない間に浅い呼吸になってしまうことが多いです。

    座禅をするときは、基本的な呼吸法である数息観を実践しゆっくりと深い呼吸を一定のリズムで行いましょう。

    数息観については、こちらの記事で詳細を解説しているので参考にしてください。

    座禅をやる前に知っておくべき注意点

    これから座禅を始める方は、以下の3つのポイントにも注意しましょう。

    座禅を始める前に知っておくべき注意点
    • まずは短い時間から始める
    • 動きやすい服装で行う
    • 静かな環境を選ぶ

    ①まずは短い時間から始める

    座禅時間の目安

    お寺などでは、1回の座禅時間は30~50分ほどですが、はじめは10分など短時間で始めると良いでしょう。

    いきなり長時間の座禅を行うと、姿勢に慣れず痛みが出たり、忙しく時間の余裕がない時には「また明日でいいや」と続けられなくなってしまいます。

    座禅は短い時間でも継続的に行うことで効果が現れやすくなります。

    まずは10分から始め、徐々に時間を延ばしていくことを心がけましょう。

    1日10分の座禅で効率よく効果を得る方法については、以下の記事にまとめているので参考にしてください。

    ②動きやすい服装で行う

    体を締め付けるような衣服のまま座禅を行うと、リラックスできず集中が妨げられたり、姿勢も取りづらくなってしまいます。

    作務衣などがなくても、自宅にあるジャージなど動きやすい服装で構いませんので動きやすい服装を選びましょう。

    また派手な柄や露出の多い服は避けるようにしましょう。

    ③静かな環境を選ぶ

    座禅を行う際にもう一つ大事なのが、静かで落ち着いた環境です。

    集中が途切れないよう、静かで暗すぎない所、冬は暖かく夏は涼しい環境を用意するようにしましょう。

    座禅の効果が実感できるのはいつから?

    ストレス緩和したり、頭がスッキリする感覚は1度行っただけでも実感できるでしょう。

    しかし一度実践したからといって、すべての効果がすぐに得られるわけではなく、一定の期間継続することが大切です。

    とある研究で禅僧の脳波を調べたところ、本来は睡眠時に表れるθ波(シータ)まで座禅で目覚めた状態を保ちながら出すことが確認されています。

    禅定といわれる極限状態にまで瞑想を深めることができると、より座禅の効果は最大化されます。

    まずは1日10分の座禅からはじめ、徐々に時間を伸ばしていくことを2ヶ月続けて見ましょう。

    なお、座禅の効果を実感するまでに必要な期間についてはこちらの記事が参考になります

    まとめ

    この記事では、座禅の8つのメリット、心が整うメカニズム、効果的やり方や注意点などについて解説しました。

    座禅は、姿勢を正して座り今この瞬間に集中することで、ストレスの軽減、集中力の向上など、さまざまな良い効果が得られます。

    一方で、座禅の効果を高めるには継続が重要です。座禅を続けるためには無理せず、まずは短時間から始め徐々に習慣化していくことをおすすめします。

    忙しい日常の中で、1日10分、ゆっくりと自分と向き合う時間を作ってみてはいかがでしょうか。

    最後に、座禅についてもっと詳しく知りたい方は、ぜひこちらの記事も参考にしてください

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