座禅とは、姿勢を正して呼吸を整えながら自分と向き合う、仏教の修行方法のひとつです。
近年、座禅には、ストレスの緩和、集中力の向上、睡眠の質の改善など、さまざまな効果あることが明らかになっています。
しかし座禅は、始めてもすぐに効果を実感できるものではなく、一定の期間継続することが大切です。
一方で、私たち現代人は、忙しい日常の中で座禅に時間を割くことはなかなか難しいかもしれません。
そこでこの記事では、1日10分の座禅で効率よく効果を得る方法と、継続するコツを解説します。
座禅にはどんな効果がある?
まずは、座禅の効果について解説します。
近年では、科学的・医科学にも座禅の効果が認められておりその効果は多岐に渡ります。
代表的な座禅の効果はこちら↓
精神的な効果
- ストレスの軽減
- 睡眠の質の改善
- 自己肯定感の向上
身体的な効果
- 姿勢の改善される
- 首や肩、腰の痛み・疲れが取れる
- 下痢や便秘の改善
仕事への効果
- 集中力の向上
- 記憶力・判断力の向上
このように、座禅を行うことで心身の健康に良い効果がたくさん期待できます。
そしてこれは医学的・科学的にも証明されており、例えば、ストレスの緩和・リラックス効果についても下記のように証明されています。
「脳波にα波が混入するようになり、心理テストでネガティブな気分尺度の改善がみとめられた。」
「坐禅瞑想が脳幹のセロトニン神経を活性化して、脳波や心理状態の変化を誘発するものと考えられた」
日本神経学会「丹田呼吸法は全部前頭前野とセロトニン神経を活性化する」
セロトニンは、精神の安定や安心感や平常心、頭の回転をよくして直感力を上げるなど、脳を活発に働かせる鍵となる脳内物質です。
特に、ストレスに対して効能があり、自らの体内で自然に生成されるもので、精神安定剤とよく似た分子構造をしています。
医療法人社団 平成医会「セロトニンの増加が心身に及ぼす効果」
詳細な座禅の効果については、以下の記事にまとめているので参考にしてください。
1日10分の座禅で効率よく効果を得る方法
このパートでは、1日10分の座禅で効率よく効果を得る方法を解説します。
実は座禅は、長時間行えば行うほど効果が高まるというわけではありません。
むしろ、初心者が無理して長時間行うと、姿勢や呼吸が乱れたり、体や心に負担がかかったりする可能性があります。
そのため、初心者や忙しい人は、1日10分程度の座禅から始めることをおすすめします。1日10分でも十分に効果を感じることができます。
座禅の効果を効率よく得るために、以下の5つのポイントに注意し取り組みましょう。
- 座禅に適した時間帯
- 座禅に適した場所
- 座禅の姿勢
- 座禅の道具を準備
- 座禅の継続と習慣化
①座禅に適した時間帯
まずは、「座禅をする時間帯」についてです。
実は座禅に適した時間帯というのは、特に決まっていません。
人によって好みや生活リズムが異なるので、自分に合った時間帯を選ぶことが大切です。
座禅に適さない時間帯
ただし、それとは反対に座禅に適さない時間帯というのはあります。
それは食事の前後です。空腹や満腹の状態では、座禅をしても集中できなかったり、お腹が圧迫されて苦しかったりします。
座禅は苦行ではなく心を調えるために行うので、落ち着いて座禅に取り組むためにも食事の前後だけは避けるようにしましょう。
座禅におすすめの時間帯
なお、一般的には、朝起きた後や夜寝る前が座禅におすすめの時間帯です。
朝起きた後は、一日の始まりに自分と向き合い、心を整えることで一日を有意義に過ごすことができます。
一方、夜寝る前は、一日の終わりに自分と向き合い、心を落ち着かせることで良質な睡眠を得ることができます。
また、朝や夜は周囲が静かで雑念が少ないため、集中しやすい環境でもあります。
②座禅に適した場所
次は「座禅をする場所」についてです。
座禅に適した場所は、静かで落ち着いたところが理想ですが、必ずしもお寺や専用の部屋でなくても構いません。
自宅のリビングや寝室、職場の休憩室や会議室、公園など、自分がリラックスできる場所であればどこでも問題ありません。
座禅は呼吸に集中することが重要なので、音や環境で集中が途切れない場所を選ぶようにしましょう。
③座禅の姿勢
3つ目は「座禅の姿勢」についてです。座禅をするときは、姿勢がとても大切です。
まず足は右足を左太ももの上に乗せ、左足を右太ももの上に乗せる「結跏趺坐」にします。
これが難しければ、片足だけ太ももの上に乗せる「半跏趺坐」や、足を前に出して正座するのでもかまいません。
背中をまっすぐに伸ばして、頭のてっぺんが天井に向かうようにします。
次に、両手は親指と人差し指で輪を作り、左手を右手の上に重ねて、へその前に置きます。
この手の形を「法界定印」と言います。
このようにして、座禅の姿勢を整えると、心も落ち着いて集中力を高めることができます。
④座禅の道具を準備
4つ目は「座禅の道具」についてです。
座禅で大事な呼吸と姿勢に集中するために、事前準備として必要な道具を用意しておきましょう。
座禅の道具の中でも必ず必要となるのが、坐蒲(または座布団)です。
また集中力を高めたりリラックス効果を得るために、線香も用意するとより良いでしょう。
座禅に必要な道具について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
⑤座禅の継続と習慣化
最後は「座禅の継続と習慣化」についてです。
座禅は、1度きり行っても効果は持続せず、一定の期間継続することでその効果が高まります。
これは、座禅経験者のアンケート調査でも明らかになっており、約半数の経験者が座禅の効果を得るためには、1〜3ヶ月の継続が必要と回答しています。
そのため毎日10分の座禅を継続し、日常生活の一部とすることで、座禅を習慣化させていきましょう。
座禅を継続・習慣化するためのコツについては、次のパートで解説します。
座禅を継続するコツ5選
座禅を始めたものの、毎日忙しくて続かないという人も多いかもしれません。
座禅は一度やっただけでは効果を実感することは難しく、毎日短時間でも継続することでより効果が高まります。
では、どうすれば座禅を継続することができるのでしょうか。
ここでは、三日坊主にならないための継続のコツを5つ紹介します。
- 目標を設定する
- 習慣化する
- 座禅を楽しむ
- お気に入りの座禅道具を見つける
- 座禅体験に行く
①目標を設定する
まずはじめは「目標設定」についてです。
座禅を継続するためには、自分なりの目標を設定することが大切です。
目標を設定することで、自分の進捗や成果を確認することができますし、達成感やモチベーションを高めることができます。
なお、目標は具体的で達成可能なものにしましょう。
例えば、「1日10分×1週間」「1日15分×1ヶ月」「1日20分×3ヶ月」など、まずは自分ができそうな目標を決めると続けやすくなります。
②習慣化する
2つ目は「習慣化」についてです。
習慣化とは、座禅を日常生活の一部にするということです。毎日決まった時間や場所で行うようにしましょう。
例えば、「朝起きたらすぐ」「就寝前1時間前」などだとわかりやすいです。
習慣化することで、座禅を行うことが自然な行動になりますし、忘れることもありません。
なお習慣化には、以下3つのポイントを意識して取り組みましょう。
- トリガー:
トリガーとは、習慣化したい行動を引き起こすきっかけや条件です。例えば、「朝起きたらすぐ」の場合は、「起きる」という行動がトリガーになります。また、「就寝前1時間前」の場合は、「時計を見る」という行動がトリガーです。まずはトリガーを明確にしましょう。 - ルーティン
ルーティンとは、習慣化したい行動そのものです。例えば、「10分間座禅する」という行動がルーティンになります。ルーティンは実行可能なものにしましょう。無理をすると継続できなくなります。 - 報酬
報酬とは、習慣化したい行動を行った後に得られる利益や快感です。例えば、「座禅をすると心が落ち着く」という感覚が報酬になりますし、「座禅をすると集中力が高まる」という効果も報酬です。報酬は明確に感じられるものにしましょう。報酬があると、モチベーションが高まります。
これらの要素を組み合わせると、以下のような習慣化の公式ができます。
トリガー × ルーティン × 報酬 = 習慣
この公式に沿って、自分の座禅の習慣化プランを作ってみましょう。
例えば、「朝起きたらすぐ(トリガー)10分間座禅する(ルーティン)と心が落ち着く(報酬)」というプランです。あなたは、どのようなプランを作りますか?
③座禅を楽しむ
3つ目のコツは、「座禅を楽しむ」ことです。
座禅を続けるには、楽しみを見つけることも重要です。楽しくないことは、人間はどうしてもやりたくなくなります。
座禅はただ辛抱するだけではありません。座禅は自分の心や体に目を向けることができる素晴らしい時間です。
例えば、 座禅中に感じたことや思ったことを日記に書くのも良いですね。日記を書くことで、自分の変化や成長に気づくことができます。
また、座禅後には自分へのご褒美を用意しましょう。好きな音楽を聴いたり、美味しいものを食べたり、好きな人と話したりするなど、何でも構いません。自分へのご褒美を楽しみにして、座禅に取り組むことで、座禅がより楽しくなりますし、ポジティブな気持ちで続けることができます。
④お気に入りの座禅道具を見つける
4つ目のコツは、「お気に入りの座禅道具を見つける」ことです。
座禅ではほとんど道具を必要としませんが、唯一必需品と言えるのが「坐蒲」です。
坐蒲(ざふ)とは、座禅用の円形クッションのことで、姿勢を安定させ座禅に集中するために使用します。
今や坐蒲はスタンダードなものから、おしゃれなデザインまで様々な種類が手に入ります。
お気に入りの坐蒲を見つけて、座禅を楽しむのも良いでしょう。
坐蒲のおすすめ商品や、選び方について詳しく知りたい方は以下の記事をどうぞ。
また座禅の時間を計るために使う「線香」も、香りに癒されながら楽しむことができます。
線香の香りにはリラックス効果もあり、座禅で頭をスッキリとさせるのにも役立ちます。
こういった道具で「毎日座禅をしてリフレッシュしたい」と気分を高めると、継続もしやすくなります。
おすすめの線香については、こちらの記事を参照ください。
⑤座禅体験に行く
最後のコツは、「お寺の座禅体験に行くこと」です。
特に初心者の方が一人で座禅を始めると、「正しくできているか分からない」「姿勢がうまく取れない」などの理由で座禅を難しく感じてしまい、続かなくなってしまうことがあります。
そのような場合には、お寺で行われている「座禅体験」に参加するのがおすすめです。
正しい姿勢や、座禅中の意識の向け方などを教わると、より自宅での座禅も取り組みやすく、また効果も実感しやすくなるため継続に繋がるでしょう。
座禅体験は初心者の方が気軽に参加できる内容になっているので、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回の記事では、「座禅の効果」「効率よく効果を得る方法」および「継続するコツ」について解説しました。
座禅は1度きりでやめるのではなく、毎日続けることで効果が得られます。
忙しい毎日の中で、静かに自分と向き合う時間を持てている人は少ないかもしれません。
しかし毎日10分、日常の慌ただしい時間から座禅で抜け出すことで精神的にも身体的にも多くの良い効果があります。
ぜひ心身ともに健康に、楽しい日々を過ごせるよう座禅を始めてみましょう。