座禅は心身の健康に大きなメリットがあると言われていますが、足を組むのが苦手な方や、身体的に座禅を組むことが困難な方も少なくないと思います。
そこでおすすめなのが、椅子に座って行う「椅子座禅」です。
椅子座禅は、禅宗の三大宗派である曹洞宗が普及に力を入れている座禅のやり方で、足を組んで行う座禅と同じくらいの効果が得られます。
この記事では、椅子座禅の効果とやり方、コツと注意点などについて詳しく解説します。
椅子座禅で心身をリフレッシュしましょう。
椅子座禅とは
椅子座禅とは、字の通り「椅子に座って行う座禅」のことです。
伝統的な座禅では本来床に座り足を組んで行いますが、椅子座禅では椅子に座った状態で行うことができます。
椅子座禅は、決して間違った座禅の方法ではありません。
より多くの人が座禅を実践しやすくするため、禅宗の三大宗派である曹洞宗が普及に取り組んでいたり、座禅に関する書籍でも椅子座禅の方法が掲載されるなど、今や歴とした座禅方法の一つです。
姿勢や呼吸の方法も足を組んで行う座禅と同じですので、行うことで良い効果も座禅同様に得られます。
家庭や職場など、日常の取り入れやすい時間に行うと良いでしょう。
椅子座禅のメリット
椅子座禅には、以下のようなメリットがあります。
体への負担軽減
本来の床に座り行う座禅では、膝や腰への負担を感じてしまう方もおり、座禅を行うことが難しい場合があります。
しかし椅子座禅では、足を組む必要がないため、誰にでも取り組みやすいというメリットがあります。
座禅で足を組むのが苦手な人や、身体的な制約がある人でも取り組みやすくなります。
長時間の座禅が可能
椅子座禅では、床に座るより体の負担が少ないため、より長時間の座禅を行うことができます。
基本的な1回の座禅時間は30〜50分(これを1炷という)ですが、初心者の方でも椅子座禅であれば徐々に時間を伸ばすことができます。
はじめは10分から始め、徐々に時間を伸ばしていくと良いでしょう。
長時間の座禅ができるということは、それだけ集中力の向上やストレス軽減にも効果があります。
座禅の代表的な効果
座禅をすることで得られる代表的な効果がこちらです。
これらの効果については科学的にも実証されていて、京都大学の論文でも「禅的呼吸法によるストレス低減効果」でその効果について触れられています。
座禅の効果については以下の記事にまとめているので、もっと詳しく知りたい方は参考にしてください。
椅子座禅のやり方
椅子座禅を行う方法についてご紹介します。
準備するもの
椅子座禅には道具をほとんど必要としませんが、下記は用意するようにしましょう。
- 椅子
- 線香、線香たて
- 体を締め付けない服
床に座る場合には、坐蒲(ざふ)や座布団が必要ですが、椅子座禅では座布団は必ずしも必要ではありません。
座禅をする際に使うおすすめの線香については、こちらの記事も参考にしてみてください。
ステップ1.椅子の選び方
椅子座禅を行うには、下記のような椅子を選ぶと良いでしょう。
- 背もたれはなくても良い
- 座った際に足の裏が地面につく
- 座面の高さは、座った時に床と太ももが水平になる
- 座面は少し固めが良い
座面が高く姿勢が不安定な場合は、浅く腰掛けたり、足元に台や坐蒲を入れて調整するようにしましょう。
反対に柔らかい座面の場合、深く腰掛けて背もたれにもたれる方が姿勢が安定します。
座禅用の椅子も販売されています。
おすすめの座禅用椅子については、記事後半で紹介しています。
ステップ2.静かな場所を選ぶ
床に座って行う座禅同様、静かな場所を選びましょう。
- 静かな部屋
- 暗すぎない明るさ
- 気温は暑すぎず寒すぎない
集中力が途切れないようスマホや時計などは目に入らないように仕舞っておきましょう。
壁に向かって座るか、壁を背にするかは宗派によって異なります。
ご自身で試して集中しリラックスできる場所を探しましょう。
ステップ3.姿勢を整える
椅子座禅での姿勢の整え方は、下記の通りです。
椅子座禅の姿勢
- お尻だけが椅子に当たるよう、浅く腰掛ける
- 背もたれは使わず、背筋を真上に伸ばす
- 首は胴の上にまっすぐに置く
- 腕は自然に下ろし、太ももの上に置く
- 膝は肩幅くらいに開く
- 目は半眼で、数m先を見る
かかとは床につけても、つけなくてもかまいませんが、つま先は床につけると姿勢が安定します。
手の組み方(法界定印)
- 両手のひらは上に向ける
- 右手の親指を除く4本指の上に、左手の4本指を重ねる
- 左右の親指の先をくっつけ、卵型をつくる
ステップ4.呼吸に集中する
呼吸方法も座って行う座禅と全く同じです。
呼吸で意識すべきポイント
- 下腹に力を入れる
- 頭の中で「一つ」「二つ」と、「十(とお)」までゆっくりと数を数えながら、呼吸をする
数を数えることに意識を向けないため、十まで数えたらまた一に戻るようにします。
椅子座禅でも、呼吸を丁寧にゆっくりと行うことが大切です。
息を数えると、心が安定して雑念も徐々に取り払われていきます。
余計なことを考えなければよいので、数は数えずに自然な呼吸で姿勢の正しさを意識するだけでも問題ありません。
椅子座禅で効果を得るためのコツと注意点
効果的な椅子座禅を行うためにも、以下のコツと注意点にも気をつけると良いでしょう。
- 正しい姿勢を保つ
- 呼吸に意識を集中
- 短い時間から始める
- 毎日継続して行う
正しい姿勢を保つ
椅子座禅でも、座って行う座禅同様に正しい姿勢を保つことが重要です。
背筋をまっすぐに伸ばし、頭を天井に引っ張られるようなイメージで座ります。
腰や肩など、腰より上は力が入らないようにリラックスしましょう。
力んでしまうときは、深呼吸や肩を上下させるのもおすすめです。
呼吸に意識を集中
姿勢と同じく重要なのが、呼吸に意識を集中することです。
座禅では、深くゆっくりとした呼吸を意識することで、心を静めることができます。
吸気と呼気の過程に集中し、呼吸のリズムを整えるようにしましょう。
雑念が浮かんできたときにも、浮かんだことについて何も考えることなく、正しい姿勢と呼吸に意識を向けましょう。
短い時間から始める
椅子座禅で効果を得るためには、1日に長時間するのではなく、短時間でも継続的に行うことが重要です。
最初は10分程度の短い時間から始め、徐々に時間を延ばしていくことで、集中力や内観力を向上させることができます。
一般的な禅堂での座禅時間は30〜50分です。長ければ良いというものでもありません。
10分、15分と徐々に時間を伸ばしたり、ご自身に合った時間を決めて行うのが良いでしょう。
毎日継続して行う
座禅では短時間でも継続的に行うのが重要だとご説明しました。
週に1回50分行うよりも、毎日10分行う方が、リラックス効果も得られやすく、だんだんと座禅の効果の質も高まってきます。
継続するには習慣化が必要です。
起床後、夜寝床に入る前など、椅子座禅を行う時間を決めて取り組むと習慣化しやすくなります。
まずは1日10分坐ることから始めよう
座禅というと「難しそう」「厳しい修行方法」というイメージを持つ人も少なくないかもしれません。
しかし座禅は宗教の信仰とは関係なく、誰にでも実践できる方法。
さらには椅子座禅では足腰を痛めている人なども含め、誰でも気軽に取り組めるようになりました。
忙しい日常のサイクルで自分と向き合う時間を持てている人はほとんどいませんが、まずは椅子座禅から気軽に坐ってみてはいかがでしょうか。
毎日の10分が、ご自身の体と心の不調やストレスから解放され、良い意識の転換となることでしょう。
最後に、座禅についてもっと詳しく知りたい方は、ぜひこちらの記事も参考にしてください↓