座禅は、古くから仏教の修行法として知られていますが、最近ではストレス解消やメンタルヘルスの向上など、健康面の効果に注目が集まっています。
しかし、「ほんとに座るだけで効果があるの?」と疑問を持つ方も少なくないと思います。
そこで今回、座禅を実践している方52名にアンケート調査を行いました。
座禅の効果について参考にしていただければと思います。
座禅の効果|アンケート調査方法
今回のアンケート調査方法がこちらです。
- 調査対象者:座禅会に参加している30〜70代の方
- 回答者数:52名(男性22名、女性30名)
- 調査方法:紙アンケート
- 調査内容:座禅の効果を実感するまでの期間、具体的な効果(ストレスの軽減やリラックス効果、睡眠の質の改善、集中力の向上など)を座禅実践前後で比較分析。
【概要】アンケート調査の結果
座禅の効果を実感するまでの期間
座禅を始めてから1〜3ヶ月の継続で59%、3〜6ヶ月の継続で84%の方が座禅の効果を実感。
また、継続期間が長いほどその効果が増大。
座禅の具体的な効果
78%の方が「リラックス効果・ストレス軽減」、71%の方が「睡眠の質の改善」を実感するなど、全ての調査項目(8項目)においてポジティブな効果を確認。
【詳細】アンケート調査結果
調査結果①:座禅の効果を実感するまでの期間
座禅の継続期間と効果について、アンケート調査を実施したところ以下の結果が得られました。
- 2週間未満: 7%
- 2週間〜1ヶ月:13%
- 1ヶ月〜3ヶ月:39%
- 3ヶ月〜6ヶ月:25%
- 6ヶ月以上:9%
- まだ効果を実感していない:6%
本アンケート結果から明らかになったことは、座禅の効果を実感するまでには一定の時間が必要であるという点です。
回答者の7%は2週間の継続で効果を感じ始めましたが、約半数の回答者(59%)は1〜3ヶ月継続した時点で効果を実感していました。
さらに6ヶ月以上継続するとほとんどの方(90%)が座禅の効果を実感しているという結果が得られました。
また、継続期間と効果の程度(強さ)についても調査を実施した結果、3ヶ月以上の実践で効果が増大していることも確認されました。
以上の結果より、個人差はありますが、座禅の効果は、ある程度の期間をかけて徐々に現れることが示唆されています。
すなわち、効果を高めるには座禅を継続して実践し習慣化することが重要です。
座禅を習慣化するためのコツについてはこちらの記事が参考になります。
調査結果②:調査項目毎のアンケート結果
座禅に継続して取り組んだ場合、具体的にどのような効果を実感しているか確認したところ、下記の結果が得られました。
第1位:ストレス軽減・リラックス効果が得られた(78%)
第2位:睡眠の質が改善した(71%)
第3位:集中力が向上した(70%)
また、上記以外の項目についても以下のとおり効果が確認されました。
本アンケート結果から、座禅には心身の健康に対してポジティブな効果が十分あることが認められました。
なお、男女の違いによって、座禅の効果に有意な差は認められませんでした。
アンケート結果に対する考察
「ストレス軽減・リラックス効果」について
まず、1番効果が大きかった「ストレス軽減・リラックス効果」については、座禅時のゆっくりとした一定のリズムで行う呼吸によって、脳が刺激され、脳内ホルモンである「セロトニン」の分泌が増加することが要因であると考えられます。
セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれており、感情をコントロールする働きがあるので、座禅により精神が安定し、リラックス効果が得られたと推察できます。
また、座禅には自律神経のバランスを整える効果もあります。
自律神経とは、体の様々な機能を自動的に調整する神経系のことであり、「アクセルのように活動性を高める交感神経」と「ブレーキのように活動性を落ち着かせる副交感神経」の二つから構成されています。
現代の競争社会で生きていると、私たちは常に緊張や不安に晒されており、交感神経が過剰に働くことがよくあります。
その結果、不安や緊張、イライラなどのネガティブな感情に支配されたり、睡眠障害や免疫力低下などの心身の健康に問題を引き起こします。
しかし座禅を行うと、交感神経の活動が低下し、副交感神経の活動が高まることが科学的な研究からも明らかになっています。
副交感神経が優位に働くことで精神が安定し、ストレスを軽減することができます。
「睡眠の質の改善」について
次に、第2位の「睡眠の質の改善」についても、セロトニンの分泌が影響していると考えられます。
良質な睡眠には、メラトニン(別名「睡眠ホルモン」)という物質が欠かせません。
メラトニンが多く分泌されるほど、入眠がスムーズになり深い睡眠を得ることができるため、睡眠の質が向上することがわかっています。
そして、このメラトニンを生成するための原料となるのがセロトニン。
メラトニンは、日中に作られたセロトニンを原料として生成されるため、日中に適度にセロトニンを分泌することで、夜のメラトニンの生成が促進され、より快適な眠りを得ることができるのです。
座禅とセロトニンの関係については、ストレス軽減に関する考察でも解説したとおりですが、座禅時の一定のリズムで行う呼吸により、セロトニンの分泌が増加することがわかっており、その結果として睡眠の質が改善されたと考えられます。
「集中力の向上」について
最後に3位の「集中力の向上」については、座禅を継続することで「ひとつのことに集中するチカラ」が身に付いたことが要因であると考えられます。
座禅中、次々と雑念が湧き上がってきますが、その度に意識を呼吸に戻すことを繰り返します。
これを継続して実践することで、脳の構造が変化し、目の前のことに集中できる力が身につき、集中力が向上したと考えられます。
なお、座禅の実践中、集中力を司る脳の一部(前頭前野)が活性化することが明らかになっており、脳科学的にも座禅の有効性が認められています。
まとめ
今回のアンケート結果より、座禅を継続して実践することで、心身の健康にポジティブな効果があることが認められました。
特にストレス軽減、睡眠の質の改善、集中力向上については、その効果が顕著であり、多くの参加者が効果を実感していました。
一方で、効果を実感するまでの必要な期間として、約半数(59%)が1〜3ヶ月の継続が必要と回答しており、座禅の効果を得るためには腰を据えた継続的な実践が必要ということもわかりました。
最後に、座禅に興味もっている方、これから座禅を始める方は、最初に基礎を学んでから正しい方法で座禅を実践することをおすすめします。
正しい方法での実践こそがより良い効果を得ることの近道です。
あなたもまずは10分から、座ることを始めてみませんか。
最後に、座禅についてもっと詳しく知りたい方は、ぜひこちらの記事も参考にしてください↓